まいど!名調フードアドバイザーの小田です。
ここまで事業計画書の書き方について、順を追って説明してきました。
飲食業、事業計画書はこう作る!①
飲食業、事業計画書はこう作る!②
飲食業、事業計画書はこう作る!③
ご覧いただけた方には、事業計画書は絶対に書いたほうがいい、
むしろ書くべき、書かないとヤバイ!
くらいのニュアンスで感じていただけたのではないかなと思います。
というのも、最初に「事業計画書は経営の羅針盤」という話をしましたが
それだけではなくて、いくらまでなら借金できるか、そして借金を本当に返していけるのかというメドも建てられるんですね。
経営というのは開業する方なら誰しも人生の夢であり、その事業を成功させるためならなんだってする、という意気込みがあるのはもちろん素晴らしいことなのですが、
人生には仕事だけでなく、プライベートでもいろいろと問題が起こるものなんです。
どんな問題が起こったとしても、それと同時並行で経営を行える状況をつくらなければ、本来の意味でその経営が健全とは言えません。
ですから、様々な角度から余裕を持った返済計画を立てること
そしてまずは身の丈にあった経営をすること
これがスタート時には大切な指標となります。
予想損益計算書(月次)を出そう
さあ、前回のブログ飲食業、事業計画書はこう作る!③ で、
だいたいの収支が出てきたと思います。こんどはそれを
予想損益計算書に落とし込んでいきましょう。
できれば「売り上げがいいとき・普通のとき・悪いとき」の3パターンくらい出してみるといいと思います。
1.粗利と営業利益を出す
売上高
原材料費
粗利益(売上高-原材料費)
まずは粗利が出ましたね?
次はそこからいろいろな経費を引いていきましょう
人件費
諸経費(飲食業、事業計画書はこう作る!③を参照)
減価償却費
賃借料
これらを売り上げから引いて、残った金額が営業利益です。
この営業利益が、ざっくりの意味での飲食業の利益と言えます。
飲食店として、アリなのかナシなのか?ちゃんとお客さんにかわいがっていただけている店なのか?ということです。
営業利益率は一般的な飲食店で5%程度、大手飲食チェーンでも8%程度です。
たったの5%ですから、ここをどう残すかが最大のキモなのです。
2.経常利益を出す
営業利益が出たら、そこから
本部費(税理士への報酬・社長報酬・その他運営に関する費用)
支払金利
などを引きます。
残ったものが経常利益です。
なんでこれを出すかと言うと、儲かっている飲食店でも、借入金の返済や利息の支払いの負担が大きと経常利益って小さくなるんですね。
借りすぎっていうことです。
もちろん、事業と言うのは大きく借りて大きく動かすほど大きな利益を生みます。だから元手となるお金は大きなほうがいいのです。
そこでとにかく借りられるだけ大きく借りるというスタンスの経営者もいます。
ところが、大きく借りるだけでなく、大きく動かせるセンスがないことには、大きな利益にまで結びつかないのが落とし穴。
借りっぱなしで長年にわたり会社の運転資金として使いこんでしまってはまた借りるしかなくなって元も子もありません。
銀行が貸してくれなくなったらジ・エンド。
経常利益は、そのあたりの経営者としての能力を見定めるひとつの指標となります。
つまり見るべきは、返済<利益 になっているかどうかです。
そうなっていれば、その借金は良い借金であったと言えます。
3.返済可能額を出す
経常利益が出たら、そこから法人税を引きます。
法人税は以下の通りです。
○資本金1億円超の会社・・・所得の23.4%
○資本金1億円以下の会社・・・所得800万円以下は15%
800万円超は23.4%
とりえあず予測ですから、経常利益に上記の税率をかけて算出してみてください。そして、それを経常利益から引いた額が、「返済可能額」となります。
返済可能額が出ましたか?
それが今、あなたが借りられる金額です。
少ないかもしれませんが、あなたが経営者としての力が大きくなったら、もっと借りることができます。だから初めから舵を切りすぎないで。
要はダイエットと同じ!
人は、自分の力を過信するものです。
特に小さい頃勉強や運動ができた人、学歴のある人、成功体験のある人というのは、ついついこの「経営」の才能もあるものだと過信します。
ところが、経営と言うのは学歴も運動神経も人気も性格もまったく関係がありません。
スポーツ選手が飲食店を開いたあげく失敗するという話を聞いたことがありませんか?あれも同じ、畑違いのことに安易に手を出した結果そうなるのです。
事業計画書を書いてみて、経営の厳しさを痛感した方も多いと思います。
けれども安心してください、あなたはまだ何も損をしていません。
始める前にわかってよかったのです。
返済可能額(借金できる額)が少なすぎる!と思われた方、
ダイエットで考えてみましょう。
食事を借金にたとえます。
最初はお母さん(銀行)がどんどん食事(借金)を与えてくれます。
普通、消費能力のない体で食事を食べると、脂肪がつきますよね。
成長期の子供なら、どれだけ食べても太りません。
それは食べた食事が血となり肉となり骨となり、発展していくからです。
でも成長が止まったのに同じだけ食べていたらどうなりますか?太りますよね。
太ったらどうなりますか?お母さんに「もう食べるな」と食事をストップされますよね?
ストップされた段階で、自分で生活し食事を得られる体になっていればいいのですが、稼げもしない、脂肪ばかりで外へ歩く体力も自信もないのでは、どうなりますか?
それが借金なのです。
借金は、それ自体が悪いものではありません。
成長期にはむしろ多くの栄養を取り入れないと成長すらできません。
問題は成長したときに、独り立ちして歩いて行けるのかどうかということです。
世の中には、「お母さんが急に手のひらを返してごはんをくれなくなった!」と騒ぐ子供(経営者)がいくらでもいます。
でも、それはごはんだけ食べて成長しなかった自分に責任があるのです。