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なぜカフェはカフェだけで成立しないのか?
まいど!名調フードアドバイザーの小田です。
蔦屋書店でダラダラしながらスタバのコーヒー飲むのって最高だよね~。
最初にあれが出たときは
「本にコーヒーこぼしたらどうすんだよ!」とか
「バカがコーヒーこぼした本買うのなんか死んでもゴメンだ!」とか
思ったもんだけど、今やなんの心配もすることなく愛用してるわ。
(だってそもそも買った本しか読めないもんな。)
さて今日はそんな、本屋とカフェが併設して成功する理由を言っていくよ。
前回のブログ カフェの店舗デザインの考え方 で言ったんだけど、
「飲食店」の、なかでもとくに「カフェ」の最大のハードルは、イチにもニにも
入店
なんだよな。だからとにかく入りやすい雰囲気が大事。
なぜかというと客単価が低くて回転数が大事だから。
でも、なんでそんなにカフェは入店のハードルが高いか考えたことあるか?
…ないだろ。ないんだよなあ。
あのな。「ここにハードルがあります、なぜハードルになるのでしょうか?」ということを常に考えられるヤツが、経営をうまくしていけるヤツなんだぜ?
まあお前らは100年かかっても考えもつかないだろうから今日は特別に教えてやる。
カフェは「何か買わなきゃ出られない」
おまえら、
カフェに入って何も飲まずに出てこられるか?
金を借りっぱなしの先輩がいたとか、次に会ったら殺されるかもしれないと思ってた元カノでもいない限りは出てこないだろ?
そこなんだよ。
カフェっていうのは、一度入ったら何かを飲むか食べるかしないと出てこられない。実は潜在的に客と店の間にそういう深い関係を容認・希求している場所だ。
だからこそくつろげるし、だからこそいい店だったらリピートするという性質ももちろんある。
だからその入りにくさが一概に悪いと言っているわけではない。
でも新規顧客にとって、このカフェの扉を開けたところに天使がいるのかはたまたモンスターがいるのかっていう状況は、果てしなく賭けでもある。
たった390円のコーヒーですら賭けに負けると悔しいもんだ。
そこの心理的ハードルがカフェの取り逃がしている客につながる重要なポイントだということは忘れてはならない。
「買わなくても入れる」環境を作ったのがカフェ&ブックス
蔦屋とスタバのやったことは、このハードルを天才的な手法で乗り越えた例と言っていい。
本屋と言うのは、カフェと真逆で「何も買わなくても出られる店」のひとつだ。
なんせ立ち読みができる。最新の情報も濃厚なグラビアもしっかりと脳裏に焼き付けさえすれば1円も払わずに自宅に帰れる!
なんてすばらしい環境なんだろうか。
ほぼドロボーと同じだ。
そんな素晴らしい環境があるのだろうか。あるのである。それが本屋というシステムなのである。
ところが本屋の弱点はまさにそこだ。買わなくても出られるがゆえに、買わないで出られてしまうと収入がゼロ円なのだ。
つまり本屋にとってのハードルは出口である。頼むから1冊も買わずに帰宅なんてことはしないでくれ、グラビアを脳裏に焼き付けられるような記憶力の高いやつは一生来ないでくれと思っているのが本屋である。
出口にハードルがある本屋と、入り口にハードルがあるカフェ。
この2つの業種がミックスすることで、お互いの弱点を補いあって相乗効果を高めているのがカフェ&ブックススタイルの店舗の強みだ。
そしてここに、次世代のカフェのヒントがある。
ハードルを下げるか、わざわざ来店する理由をつくる
コロナ以降、これまでより一層飲食店への入り口ハードルは高くなるだろう。
だとすると、今後は単に「入りやすい店づくり」というような努力だけではなくて、わざわざ店に立ち寄ってもらわないといけないような用事をつくることが重要になってくる。
本や雑貨・アパレルなどの販売でハードルを下げる
上記で述べたような本・雑貨・アパレルなどのショップは、入り口よりも出口にハードルがある店だ。そのような店との併設で入店ハードルを下げるというのは賢いやり方だ。
でもこういう併設販売の注意事項として、注意しておかなければいけない側面もある。
滞在時間が異常に長くなるようなものとの併設販売は避けるべきだということ。
まず滞在時間が異常に長くなるようなものは避けたほうがいい。
例えばゲーム系(麻雀やボードゲーム、TVゲーム、漫画、映画)などだと、滞在時間ごとに料金を取るようなマンガ喫茶的側面が強くなってしまうので注意。利益が取れなくてぴえんぴえん泣くことになる。
また、買ってからしばらくして見たいもの(お土産や思い出グッズ)などは、自宅に帰ってから余韻に浸る系のものなので、併設販売があまり意味がない。
買ったものを即試したいようなものであればあるほどいいということ。
もうひとつは、買ったものを即試したいようなものであればあるほどいいということ。例えば買ったはいいけれど家で使うようなものの場合、(お風呂グッズとか)結局カフェへの来店に繋がりにくいという側面がある。
その点、本は「すぐ読みたい」となるのが最高にいい。
「すぐに作りたい」となる手芸・クラフト系
「すぐにやってみたい」となるアプリ系
「すぐに食べてみたい」となるご当地野菜や果物系
これらとの相性は比較的良いと言える。
素人でも楽しめるような簡単な手芸や手作り体験・クラフトや、自分が知らないような便利で楽しいアプリを紹介してくれるカフェがあったら面白い。
そういったヒマつぶしと出会いに行くことがカフェを訪れる理由になるのだ。
ヨガやフラワーアレンジメントなどのワークショップの開催で来店理由を作る
世の中の女性は自分磨きに余念がない。
ヨガやフラワーアレンジメント、ネイル、占い、フレグランス、刺繍、語学、写真、切り絵、絵画、マナー、風水、アロマ、etc…
「おけいこ」で検索すれば世の中のお稽古事は数限りなく出てくる。
それらを開催することで来店理由を作るというのは必要な考え方だ。
あれこれとやるよりもひとつのことを根付かせることが大切
これらのワークショップは、コロコロ変えるのはあまりお勧めしない。
というのもワークショップには講師が必要で、質の高い講師というのはなかなか確保できないからだ。
そこらのオバチャンが自宅の花を摘んで「生け花です」と言ったって、納得できるヤツとできないヤツがいるのは当たり前で、ソコソコ質の高いものをドヤ顔で提供できて、毎回チケットが売り切れになるくらいの人気ぶりでないと意味がない。
そのためには質の高い講師をタッグを組んで、カフェの雰囲気もそのお稽古に合わせていくくらいの覚悟が必要だ。
そしてカフェのオーナー側もその趣味に対して理解があって、自分も没頭するくらいのものであるとなお素晴らしい。
今やSNSで発信する時代。発信する材料がたくさんあって、その道のファンがたくさん訪れるような店になれば勝ちである。そのワークショップ自体がカフェのオリジナリティとなっていくからだ。
カフェ戦国時代へ向けて、さまざまな方法が模索されていく時代。
ぜひ、オリジナリティあふれる方法で、このサバイバルを生き抜いていってくれ!